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猫の病気で死因上位に入る腎臓病。
平均寿命が延びている一方で腎臓病は慢性的に徐々に進行することも多く、普段の食事や生活に気を配り、何気ない行動の中にあるサインを見逃さないことが大切です。ここでは腎臓病に関する知識や、健康に長生きしてもらうための情報を掲載しています。
猫は、私たち人間よりもずっと早く年を取っていきます。 猫の年齢11歳は人間の年齢で60歳と高齢に相当します。哺乳類ではどんな動物も種類にかかわらず、一生のうちに打つ心拍数は決まっていて、人間よりも心拍数の早い分寿命が短いといわれています。一緒に暮らす猫の年齢を知っておくことは体調管理のうえでも大切なこと。下表は一緒に暮らす猫の年齢のおおよその目安です。
1ヶ月 | 1才 |
---|---|
2ヶ月 | 3才 |
3ヶ月 | 5才 |
6ヶ月 | 9才 |
9ヶ月 | 13才 |
1年 | 17才 |
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2年 | 24才 |
3年 | 28才 |
4年 | 32才 |
5年 | 36才 |
6年 | 40才 |
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7年 | 44才 |
8年 | 48才 |
9年 | 52才 |
10年 | 56才 |
11年 | 60才 |
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12年 | 64才 |
13年 | 68才 |
14年 | 72才 |
15年 | 76才 |
16年 | 80才 |
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17年 | 84才 |
18年 | 88才 |
19年 | 92才 |
20年 | 96才 |
日頃から猫の健康維持のために、外見、食欲、飲水量や便と尿の状態や回数などを観察し、病気の早期発見や予防に努めることが大切です。また、飼い始める時は、年齢、飼育環境、健康状態などを把握するために、病院で検診を受けましょう。
せっかく病院に行っても、極度の緊張により十分な診察を受けられない猫もいますので、体調の変化に気づいてあげられるよう、自宅で体のチェックを行いましょう。
部位 | チェックするべき点 | 考えられる疾患 |
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顔 | ![]() |
白内障 |
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甲状腺機能亢進症 | |
![]() |
脱水 | |
![]() |
皮膚病や腫瘍 | |
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腎臓病など | |
粘膜の色 | ![]() |
貧血や黄疸 |
被毛 | ![]() |
栄養状態や毛づくろいの有無 |
背中 | ![]() |
肥満、痩せてきていないか |
![]() |
脊椎疾患 | |
腹部 | ![]() |
腹腔内腫瘍、乳腺腫瘍 |
手足 | ![]() |
関節炎 |
腎臓の働き | ・老廃物の排出 ・体内の水分やミネラルの調節 ・血圧の調節 ・ホルモンの分泌 |
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腎臓病になると | ![]() ・脱水を起こす。 ・血中のリン濃度の上昇が腎臓を更に傷つける。 ・血圧調整ホルモンの過剰により高血圧になる。 ・貧血をおこす。 |
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腎臓の構造 | ![]() 全身から腎臓へ運ばれた血液は糸球体でろ過され、その後尿細管で水分や必要な成分が再吸収されます。 |
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腎臓病とは | 腎臓が本来の機能をしなくなることで、気怠さや吐き気を感じたり、尿毒症や高血圧などのさまざまな症状が現れる病気です。猫の場合、尿細管がダメージを受け水分の再吸収ができなくなるため、尿の濃度・色は薄くなり量が多くなります。多尿に伴い飲水量も増えるのですが、それ以上の水分が失われるため、脱水を起こします。また、腎臓のネフロンは常に全てが働いている訳ではなく、20%~30%ずつ交代で働いているため、70%程のネフロンが機能しなくなった時点ではじめて症状として現れます。これが、腎臓病に気付きにくい原因です。 |
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腎不全の 年齢推移 |
![]() |
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腎臓病の症状 | 尿量増加 / 飲水量増加 / 嘔吐 / 貧血 / 脱水 / 高血圧 |
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猫は腎臓に負担がかかりやすい動物と言われていますが、日頃から水分をたくさん取ることで負担を軽くしてあげられます。缶詰やレトルトパウチなどのウェットフードを与えることでドライフードに比べ、1日の水分摂取量が増えることがわかっています。また、リンやナトリウムの数値を低くしている成分に配慮した食事を与えることも重要になります。腎臓機能が低下すると、リンが排泄されにくくなり、そのリンが腎臓を傷つけ、さらに腎臓病を悪化させます。また、腎臓機能の低下で塩分と水分の調整がしにくく血圧が上がりやすくなり、血圧上昇はさらに腎臓への負担を増やします。このため、食事中のリンと、血圧上昇に関係するナトリウムを制限することが大切です。
腎機能が低下すると毒素や老廃物が排泄できなくなり、血液中の以下の数値が上昇します。
尿素窒素(BUN) | 蛋白質がエネルギーとして使われた後の代謝産物(残りカスのようなもの)で、腎機能が低下することで排泄されづらくなる毒素のひとつです。数値が高くなると吐き気や食欲低下を起こします。 |
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クレアチニン(Cre) | 筋肉の運動によりできる代謝産物で、体の筋肉の付き具合により基準値も変わります。腎機能の指標のひとつとして用います。 |
リン(P) | 身体を構成するために必要不可欠な物質ですが、腎機能低下に伴い上昇します。 |
本来尿中に現れない物質の有無や、尿中の細胞のチェックを行います。血液検査よりも早い段階での異常を発見できるため、特に健康診断では尿検査を行うようにしましょう。
比重 | 尿の濃さを表しており、数値が低いほど濃縮能力が低下していることになります。測定には1日のうちで最も比重の高い朝の尿が理想的です。 |
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尿タンパク | 腎機能の低下に伴って尿中に蛋白が漏れ出てきます。(正常でも微量の蛋白は検出されます。)蛋白により痛んだ腎細胞をさらに傷つけることにもつながります。 |
尿タンパククレアチニン比(UPC) | クレアチニンと比較して尿蛋白を測定することで、より正確に腎機能を検査する方法です。 |
腎臓のサイズ、構造などの異常がないか確認できます。
最も正確に尿検査をするには、病院での「膀胱穿刺」という方法がありますが、自宅で採尿する場合、以下の方法があります。
おしりの下にサッとトレーを置いてあげます。嫌がる子には無理をしないようにしましょう。
砂の量を極端に減らし、砂が尿を吸収する前にスポイトで採る。
2段式トイレの場合も、上段の砂の量を減らし、下段のペットシートを除いて置き、トレーに溜まった尿を採取する。
ペットシートをひっくり返しておき、ビニールの面でおしっこをしてもらう。
一日に必要な水分摂取量
3kg | 159ml |
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4kg | 196ml |
5kg | 233ml |
6kg | 266ml |
ここからフードに含まれる水分量を引いた分が1日の飲水料ということになります。
食事ごとの実際の飲水量目安
ドライフードの場合 | 90 - 170ml/日 |
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ウェットフードの場合 | 5 - 85ml/日 |
主食がドライフードであれば200ml以上、ウェットフードの場合は100ml以上…飲んでいるのであれば「多飲」ということになります。
毎日同じ時間に水替えをし、その都度お水の量をはかるというのが一般的な方法です。200mlを超えてくるようなら、腎臓病を含めさまざまな病気が考えられますので、動物病院に相談しましょう。
新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきます。市販されているミネラルウォーターで、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどが入った硬水は尿石ができやすくなるので猫には好ましくありません。基本的には、衛生的な水道水ということになります。
動物病院で腎臓病と診断されたら、症状を和らげたり、病気の進行を防ぐため、療法食への切替えやお薬が必要になります。 昔に比べ療法食も食べやすくなっていますが、好みに合わなかったり飽きてしまったりと食べてくれない時があります。そういった時のために、療法食以外の腎臓ケアに配慮されたものを探しておくとよいでしょう。特に水分の多いウェットタイプがおすすめです。
細胞やたんぱく質を構成しているミネラル成分であり、体内のリンの80%はカルシウムと結合し骨・歯として存在しています。体は常に血中のリンとカルシウムの比率を一定に保とうと働いており、リンの過剰摂取により、骨からカルシウムが溶け出したり、また、カルシウムと結合して臓器の石灰化を起こすので、カルシウムとのバランスが大切といわれています。
推奨されるカルシウム:リンの含量 1:1~2:1
「小動物の臨床栄養学」より
ナトリウムには水を引き連れて移動する性質があり、これにより体内の水分量や血圧を調整したり、細胞の浸透圧を一定に保つ働きをしています。神経の情報伝達にも関わっています。汗をかかない猫では人よりも要求量が低く、リンと同様にある程度の制限が必要です。