【獣医師監修】猫のうんちの臭いが気になる?原因と対策を解説
猫と生活している中で、「うんちの臭い」が気になったことはありませんか?猫のうんちはなぜ臭うのでしょう。また、うんちの臭いを消すには、どうしたらよいのでしょうか? うんちの臭いや状態によっては、早急に動物病院を受診した方がいいケースもありますから注意が必要です。この記事では、猫のうんちの臭いの原因や、効果的な消臭対策について詳しく解説します。
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アイシア 「猫の育て方」編集部監修
アイシア(株)在職で商品開発にも携わり、臨床経験もある獣医師が所属している「猫の育て方」編集部。商品開発などのお仕事を通して、猫の健康的な生活について考えているメンバーが揃っています。
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猫のうんちが臭い原因
猫のうんちの臭いは、元々、人のうんちと比べると強めです。臭いは、食事によっても多少変わりますが、同じものを食べていれば、毎回ほぼ同じのはずです。普段と比べて、特にきつい臭いがする、酸っぱい臭い、腐ったような臭いがするという場合は、健康状態に何らかの問題が起きているのかもしれません。では、なぜ猫のうんちが臭くなるのでしょうか?その原因は、いくつか考えられます。
食事の質に問題
食事の質に問題がある場合、うんちが臭くなることがあります。市販のキャットフードには、数多くの種類があり、使用されている原材料も多岐にわたります。猫の健康を一番に考えるならば、原材料や成分を確認し、価格よりも品質を重視してフードを選びたいものです。
毎日のように、下痢や軟便、臭いの強いうんちが続く場合は、フードに含まれる成分との相性がよくないことも考えられます。食物アレルギーやその他の病気の可能性もあるため、動物病院に相談してみましょう。
消化不良・吸収不良が起きている
食べ物の消化がうまくいかない場合、未消化の食べ物がうんちの中に混ざり、うんちが臭くなったり、便が緩くなったりすることがあります。消化不良を起こしやすくなるのは、一度に多くのものを食べ過ぎたときや、盗み食いをしたとき、いつもと違うフードを与えたときなどです。フードのあげすぎには注意し、フードを変えるときは、急に変えるのではなく、少しずつ切り替えるようにしましょう。
寄生虫、細菌、ウイルスに感染している
寄生虫、細菌、ウイルスの感染が原因で、うんちが臭くなることもあります。うんちに白い紐や粒のようなものが混ざっていたら、寄生虫かもしれません。その他、肉眼では見えない寄生虫に感染している可能性もあります。細菌やウイルスも、肉眼では見えません。下痢が治らない場合や、臭いの強いうんちが続いている場合は、必ず動物病院で検査を行い、適切な治療を受けるようにしましょう。
病気や健康問題
消化器系の病気や、その他の病気によって、うんちが臭くなることもあります。
消化器とは、食道、胃や腸、肛門までの器官をいいます。下痢など、便の変化を伴う消化器系の病気には、腸炎や、消化器の腫瘍などがあり、消化器系以外の病気では、肝臓・胆のうの病気や膵炎などがあります。また、運動不足によって腸内の活動が低下することや、腸内細菌のバランスの乱れ、肛門腺の炎症や肛門周囲の皮膚炎なども、臭いの原因となることがあります。
ストレスや環境の変化が影響
ストレスや環境変化が消化に影響して、うんちが臭くなることもあります。猫は比較的ストレスに弱く、ストレスによって下痢を起こします。引っ越しや、新しい家族やペットの同居、飼い主さんの長時間の不在、ペットホテルへの預け入れなどは、大きな環境変化であり、猫にストレスを与える可能性があります。
猫の健康チェック
猫のうんちが臭いと、もしかして健康状態に問題があるのかな?何かの病気だったらどうしよう?と心配になってしまいますね。ここでは、健康なうんちと異常なうんちの特徴について把握しておきましょう。
異常なうんちの特徴
健康なうんちの回数は、1日に1~2回程度が目安ですが、個体差があります。普段から1日に何回うんちをしているのか意識しておきましょう。
色は、猫が食べているフードによっても多少変わりますが、濃い目の黄土色~茶色です。適度な水分を含み、ツヤがあり、拾っても形が崩れない程度の硬さがあります。うんちの周りには、猫砂があまりついていない状態が正常です。臭いはしますが、異臭というほどの臭いではありません。
反対に、うんちの回数が普段に比べて多すぎたり、少なすぎる場合、血便や黒色便、白色便などの色の異常があったり、軟便や下痢をしている、またはうんちが硬く少量しか出ない、明らかに異臭がするという場合は、異常なうんちだといえます。
毎日、猫のうんちをチェックするのを習慣にすれば、異常があったときにすぐに気づくことができるでしょう。なお、排便から時間が経過すると、うんちが乾燥したり、砂がついたりして、うんちの状態を把握しにくくなります。できるだけ、排便直後の観察を心がけましょう。
獣医師の診察の重要性
うんちの異常は、何らかの病気のサインである可能性があります。猫は、体調が悪くても、言葉で伝えることができません。飼い主さんが、少しくらい大丈夫だろう、と様子を見ているうちに、どんどん病気が進行してしまう可能性もあります。
軽度の急性下痢であれば、3日程度で治ることもありますが、元気や食欲の低下、嘔吐、うんちの色の変化が見られる場合は速やかに動物病院を受診しましょう。また、一時的によくなったとしても、体重の減少や下痢を繰り返すといった症状がある場合は動物病院を受診しましょう。
猫のうんちの臭いを軽減する食事対策
病院を受診して異常はなかったけれど、ちょっとうんちの臭いが気になるという場合、食生活の見直しによって軽減できるかもしれません。
ウェットフードとドライフードのバランス、添加物の少ない食事
ドライフードだけを与えていて、あまり水を飲まない猫の場合、水分不足で便秘になることがあります。ウェットフードのみを与える場合、水分はしっかり摂取できますが、それなりの量を食べないと十分な栄養を摂取できません。ウェットフード、ドライフードのバランスに注意しましょう。
また、フードに含まれる添加物は、品質の劣化を防ぐために必要なものですが、猫の体質によっては、胃腸に負担がかかり、下痢の原因となることがあります。フードが猫の体質に合っていなさそうな場合は、食事の見直しも検討してみましょう。
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腸内環境を整えるサプリメントの効果と使い方
腸内環境の維持に配慮されたサプリメントを使うことで、うんちの臭いが軽減されるかもしれません。オリゴ糖や食物繊維などのプレバイオティクスや、乳酸菌などのプロバイオティクスの使用は、善玉菌を増やし腸の健康維持が期待できるといわれています。
サプリメントは、健康の維持増進のために、補助的に用いるものですので、決められた量を守って、与えすぎないようにしましょう。
高品質なキャットフードを選ぶ
キャットフードの質は、うんちの状態にも影響します。様々なフードがありますが、猫の健康のためには、品質や、猫の体質に合っているかを重視してフードを選ぶのがおすすめです。
臭い対策に欠かせない清潔なトイレ
猫のうんちは、健康状態に問題がなくても、ある程度は臭うものです。トイレを清潔に保つことで、うんちの臭いを感じにくくしましょう。
トイレの掃除頻度
猫のトイレは、毎日掃除することが大切です。うんちを放置すると、臭いの原因になりますので、排便後のうんちは、できるだけ早めに取り除きましょう。猫砂を全量交換するタイミングで、トイレの丸洗いをしましょう。
猫砂の交換頻度は、猫トイレのタイプや猫砂の種類、季節によっても変わりますが、少なくとも月に1回以上は全量交換を行うことが推奨されています。メーカー毎に交換の目安が記載されているので確認したうえで交換を行ってください。日頃からトイレを衛生的に保つことで、気になる臭いを減少させることができます。
適切な猫砂の選び方
猫砂を、消臭効果の高いものに変えてみることもおすすめです。飛び散りにくいものや、掃除をしやすいものも、臭いの軽減に効果的です。様々な香りつきのもの(石鹸、花、木の香りなど)、もあります。飼い主さんと猫の好みに合わせて選んでみましょう。
トイレの場所と配置
猫トイレの置き場所も重要です。猫トイレの数は、猫の数「プラス1」が望ましいとされています。猫砂が飛び散りにくいケージの中や、換気のしやすい洗面所など、猫が自由に出入りできて、リラックスでき、臭いが気になりにくい場所を選びましょう。
反対に、玄関や廊下などは、あまりおすすめできない場所です。人通りが多い場所は猫が安心して排泄できないうえに、冬場は寒さから排泄をためらってしまう可能性があります。台所や、食卓のすぐ近くも、臭いや衛生面であまり好ましくありません。
環境を整えてストレスを管理することも臭い対策に
猫はストレスによって、下痢や軟便を起こすことがあります。猫がストレスを感じにくい環境を整えることは、健康なうんちに繋がります。
ストレスの原因と対策
新しい家族が増えた、今までいた家族がいなくなった、引っ越しをしたなどの様々な生活環境の変化は、猫にとって大きなストレスとなり、それがうんちの臭いなど異常の原因となることがあります。
個体差はあるものの、猫は警戒心が強い傾向があり、新しい住まいや家族に慣れるまでには、少し時間がかかります。猫のペースを尊重し、ストレスを軽減するように工夫しながら、長い目で見守ることが大切です。
もし引っ越しをしなければならない場合は、今まで使っていた猫トイレや猫用ベッド、タオルなどは新調せず、同じものを使ってあげましょう。猫は自分のにおいがするものがあると、落ち着くことができます。
新しい家族が増えた場合、距離を縮めようとして過度に構いすぎると、猫はストレスを感じてしまいます。まずは猫に短時間だけ触れてみる、手からおやつをあげてみるなど、焦らずに少しずつ慣らしていくのがよいでしょう。
また、新入り猫を迎えた場合、先住猫は自分の「縄張り」に侵入されたように感じ、警戒してストレスを感じることがあります。初めのうちはそれぞれの生活エリアを分け、少しずつ、お互いのにおいを覚えさせてから、徐々に接点を増やしていくようにしましょう。