【獣医師監修】離乳食はいつから?子猫の食事・おやつの与え方のまとめ
子猫は成猫へと成長するまでの過程で、必要な栄養素やエネルギー量が変化します。
健康に育つように、子猫の成長具合を細かに観察しながら食事量や回数、種類を調整していきましょう。
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監修者:村田 貴輝
日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業。動物病院で臨床を経験後、アイシア株式会社入社。
<資格>獣医師、ペット栄養管理士、ペットフード安全管理者
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子猫のミルクはいつまで?離乳食を与えるタイミング
乳歯が生え始めたら離乳食が始まります。ミルクから離乳食への移行方法や離乳食に関する基礎知識をご紹介していきます。
ミルク卒業の目安
ミルク卒業の目安は次の2点です。
子猫の歯が生え始めた
自力で排泄ができるようになった
個体差はありますが、子猫は生後2~3週頃から乳歯が生えてきます。排泄も自分でできるようになり、視力や聴力がはっきりして、ヨチヨチ歩きですが活動も活発になってきます。
これらの成長がミルク卒業の目安です。いきなり離乳させずに少しずつ離乳食へシフトしていきましょう。
離乳期の子猫に優しいオススメの食事
乳歯が生え始めた子猫の離乳食には、飲み込みやすいやわらかい食事を用意します。子猫用のドライフードをぬるま湯でふやかしたものや、子猫用のウェットフードなどを与えます。子猫用の総合栄養食は子猫に必要な栄養がしっかりとれ、離乳後にそのまま与え続けることができ、子猫の離乳食に最適です。また離乳期用の離乳食も市販されています。
はじめての離乳食に怖がってしまう子猫には、与えている粉ミルクを混ぜると良いでしょう。これまで飲み慣れた味や匂いなので、安心して食べることもあります。
離乳食の与え方。最適な時間や回数・量
これまでミルクしか飲んでこなかった子猫は、まだ離乳食を食事と認識することや上手に食べることができません。また、胃腸がまだ固形物に慣れていないため、切り換えは少しずつ行います。はじめは離乳食を子猫の口元に付けて舐めさせ、味を覚えさせるところからスタートです。離乳食は、最初は小さじ1杯程度の少量から始めます。
口元に手で離乳食を運んであげて食べられるようになると、じきにお皿から食べられるようになっていきます。はじめは上手に食べることができませんが、浅いお皿に乗せて子猫にクンクンと匂いをかがせ、自分で食べられるように練習していきます。離乳食を食べさせた後は、ミルクを与えてお腹が膨れるようにします。子猫の体調や排泄物に問題が無いことを確認しながら、少しずつ離乳食の量を増やして、ミルクの量を減らしていくような形で切り替えていきます。
また離乳期の子猫はまだ消化器官が発達していないため、一度にたくさんの量を食べることができません。そのため1日の給与量を数回に分けて与えていきます。
離乳初期の食事の回数は、1日4~6回程度、3~6時間おきに与えます。
長時間お腹を空かせると低血糖を起こしてしまう恐れがあるので、食事を与える間隔はできるだけ一定にしましょう。
離乳食を自分で上手に食べられるようになって、順調に体重が増えていればミルクは卒業です。歯が生えそろってきたら、子猫用のドライフードもぬるま湯でふやかさなくても食べられるようになります。
またこの時期からは、新鮮な水を水飲み用のお皿に常備することも忘れないでください。なかなか水を飲まない場合は、数カ所に分けて置いたり、食器を変えたりしてみてください。
成長期の食事の与え方
生後2ヶ月から12ヶ月にかけての時期は、身体が大きくなり、骨や内臓などが発達する成長期です。この時期の食事についてご紹介します。
成長期の食事で好みが決まる?おすすめの与え方
猫の食に対する好みは、幼い時期の食生活で形成されるといわれています。猫がこれからずっと偏食なく、栄養バランスの良い食事ができるように、成長期にはさまざまな食材や食感の食事を与えるようにしましょう。子猫用のフードは種類が豊富です。特定の食材や味に偏りがないように、チキン→かつお→まぐろ、など数種類をローテーションで与えていくとよいでしょう。
成長にあわせて最適なフードを与える。子猫用フードの栄養について
成長期の子猫は、成猫に比べて多くのエネルギーと栄養素が必要となります。特に生後4ヶ月頃までは、体重当たりのエネルギー量が成猫のおよそ2倍も必要となっており、タンパク質、ミネラル類、ビタミン類も多く必要となります。成猫用のフードでは発育に必要な栄養を十分に摂ることができません。消化器にも負担をかけてしまいます。
そのため成長期の子猫には、必要なエネルギーが摂取でき、最適な栄養バランスとなっている「子猫用」の「総合栄養食」と表示されているフードがおすすめです。「総合栄養食」とは、猫に必要な栄養素が全てバランスよく含まれていて、そのフードと水を与えるだけで健康を維持できるペットフードです。
個体差はありますが、成長が落ち着く生後12ヶ月頃を目安に、成猫用のフードへと徐々に切り替えていきます。
食事の回数・量
子猫の成長には個体差があります。月齢ごとの食事回数や量は、体重を計測しながら子猫の成長段階(月齢)に合わせて調整していきましょう。
また給与量は与えるフードの種類によって異なります。パッケージに記載されている推奨給与量を参考にしてください。
食事の量が子猫の成長とともにどのように変化するのか、一例としてドライフードの『MiawMiawカリカリ小粒タイプ子ねこ用』で見ていきましょう。
体重 (kg) |
離乳 ~4ヵ月 |
4 ~9ヵ月 |
9 ~12ヵ月 |
---|---|---|---|
0.5 | 40 | 35 | - |
1.0 | 65 | 55 | 45 |
1.5 | 85 | 70 | 55 |
2.0 | 100 | 85 | 70 |
3.0 | 130 | 110 | 90 |
4.0 | - | 135 | 105 |
5.0 | - | - | 125 |
上の表の各ライフステージの特徴は次のとおりです。
離乳~生後4ヶ月頃まで
この期間は食欲旺盛ですが、まだ胃が小さく一度に少量ずつしか食べることができないので、1日4~6回に分けて与えていきましょう。
生後4ヶ月~9ヶ月頃まで
生後4ヶ月を過ぎると、乳歯が永久歯へと生え変わります。体重は1週間に100gのペースで増加し、ぐんぐん身体が大きくなる時期です。
生後9ヶ月~12ヶ月頃まで
この頃になると、子猫の身体は成猫と変わらないくらいの大きさになりますが、内臓や骨、筋肉などまだ成長途中です。生後12ヶ月くらいまでは子猫用フードを与えてください。食事の回数は1日2~3回へと減らすことができ、成長が落ち着くので必要なエネルギーが減り、生後4~9ヶ月頃に比べると給与量も減っていきます。
子猫におやつを与えてもいい?正しい与え方
かわいい子猫とのコミュニケーションやしつけにおやつは大活躍します。嗜好性の高いおやつは猫も大好きで喜びます。かわいくてつい与えすぎてしまいがちですが、量に注意が必要です。
おやつの種類・使い方
おやつには、“カリカリ”やクッキーのようなドライタイプのものや、スープやペースト状のウェットタイプのものなど、さまざまな種類があります。また煮干しや、かつお節といった素材タイプのものも猫は大好きです。ドライタイプのおやつのメリットは、ひと口で食べられる大きさで直接手から与えやすいこと、ウェットタイプのおやつのメリットは、普段あまり水を飲まない猫の場合、水分補給の補助となることです。
犬用のフードや人間用の食品には、猫に与えてはいけない成分が含まれている場合があるため、必ず猫用のものを選びましょう。
おやつは、おもちゃやグルーミングと合わせて猫とのコミュニケーションをとるためのツールとして上手に活用しましょう。
あげるタイミングは、ごほうびとして与えるのが理想的です。猫が欲しがったら与えるのではなく、お留守番を頑張ったとき、トイレがきちんとできたとき、爪切りや歯磨き、しつけをするときなど、ごほうびとして特別なときに与えるようにしましょう。ただし、おやつを与える量には注意が必要です。おやつの与え過ぎは肥満にもつながります。
おやつを与える頻度・量
おやつを与える場合は、パッケージに記載されている量と回数を守りましょう。猫のおやつは、1日に必要な総カロリーの10~20%を上限とすることが好ましいといわれています。
また嗜好性の高いおやつは、与えすぎると食事を食べなくなってしまうことがあります。総合栄養食のような栄養バランスの整った食事を食べなくなってしまうと猫の健康に悪影響を与えてしまうため、様子を見ながらおやつの量や回数を調整して、メインの食事に響かないようにしましょう。
子猫にまたたびを与えてもいい?またたびの基本
またたびは山に自生するつる性の植物で、またたびの枝や実、粉末などを猫に与えると、興奮したり、陶酔したような状態になります。
“猫にまたたび”とことわざにあるように、またたびを大好きな猫もいます。またたびはストレス解消や食欲増進などの効果があり、猫にとって必ずしも必要なものではありませんが、爪とぎの場所を覚えてもらうときや、ごほうびとしても利用することができます。給与量や回数に注意しましょう。
猫がまたたびに反応するのは、1歳以降と言われています。子猫によっては反応をする場合もあるようですが、成猫でも初めての刺激で興奮しすぎてしまうことがあります。その為、与える場合は十分に注意をしましょう。
てんかんや心臓に疾患がある猫への使用は、子猫・成猫に問わずおすすめできません。