猫ちゃんのごはん事典
猫ちゃんのごはん事典

猫ちゃんとのHappy Life のために
監修:桑原動物病院副院長 桑原久美子

  • 大切なパートナー あなたの猫ちゃんを迎える前に
  • すべての基本 猫ちゃんの食事
  • もう迷わない キャットフードの選び方
  • 気まぐれ猫ちゃんのための食事提案
  • 健全な食事の与え方
  • 予防と早期発見
  • もっと知りたい猫ちゃんのこと

2.すべての基本 猫ちゃんの食事

2.すべての基本 猫ちゃんの食事

「 猫ちゃんの身体を維持する、栄養素とその役割 」

猫ちゃんが快適で健康な生活をおくるためには、バランスのよい食事を与えることが大切です。
可愛がるあまり、私たちはつい自分が食べているものを与えたくなってしまいがちですが、猫ちゃんと人間では消化器官の構造も食性や代謝も違うため、必要な栄養素の種類や量も異なります。
では、どのような栄養素が必要なのでしょうか?

  • 猫ちゃんに大切な6つの栄養素
  • ライフステージにともなう4段階の変化

猫ちゃんに大切な6つの栄養素

猫ちゃんに大切な6つの栄養素

1.タンパク質

筋肉、骨、被毛、さまざまな器官など、体の成長や維持に欠かせない栄養素がタンパク質です。タンパク質は、組織の成長・維持の他にエネルギー源にもなります。肉食である猫ちゃんにとって、肉や魚、乳製品に含まれる動物性タンパク質は大切な栄養素であり、一般に人間と比べて5〜6倍のタンパク質を必要とします。

2.脂肪

脂肪はエネルギー源となります。また、健康な皮膚や美しい被毛を保つことにも役立ちます。摂取された脂肪は脂肪酸に分解されますが、この脂肪酸の中には、体内で充分に作り出すことができず、食事から摂らなければならないリノール酸やリノレン酸、アラキドン酸などの必須脂肪酸があります。

3.ビタミン

ビタミンは成長を助けたり、健康な皮膚や被毛の維持、病気に対する抵抗力を高めるなど、さまざまな働きをします。また、ミネラルとの関わりが深く、体内の組織構成を助けます。健康な猫ちゃんはビタミンCを肝臓内で合成することができるので、食事でビタミンCを摂取する必要はありません。しかし、ビタミンA、B1、B2、B6、Dなど、ほとんどのビタミンは体内で合成できないため、食事で補う必要があります。

4.ミネラル

カルシウムやリンなどのミネラルは骨や歯を形成したり、体の器官と組織、体液の成分などを維持するうえで欠かせない栄養素です。各ミネラルが体内でうまく機能するためには、必要なミネラルをバランスよく摂る必要があります。特定のミネラルが不足したり、逆に過剰になると成長を阻害したり、体調を崩す場合もありますから注意が必要です。代表的なところでは、マグネシウムの過剰摂取は下部尿路疾患の要因のひとつともいわれてます。

5.炭水化物

人にとって重要な栄養素である炭水化物も、肉食である猫ちゃんにはエネルギー源にしにくいものです。猫ちゃんはタンパク質、脂肪から栄養を摂取するからです。

6.水

水は体温を調節したり、さまざまな代謝や老廃物の排泄にも大きく関わっています。いつでも清潔で新鮮な水を飲めるようにすることが大切です。雑菌が繁殖しやすい夏はもちろんですが、いつでも容器はこまめに洗って新鮮な水に取り替えましょう。ミネラルウォーターは、その成分によっては猫ちゃんに合わないものもありますので、あまり与えない方がよいでしょう。

※ペットが必要とする栄養素の量は、成長(年齢)、運動量、サイズ(体重)などによって異なります。また、健康状態によっても違います。それぞれに適したフードを与えるようにしましょう。療養中の場合は病院の獣医師にご相談ください。

ライフステージにともなう食事の4段階の変化

ライフステージにともなう食事の4段階の変化

1.妊娠期・授乳期

妊娠期には、胎子の成長にともなって胃が圧迫されるので、1回の食事量が減ってきます。母体の維持と胎子の健全な発育のため、少量でも栄養価の高い食事を与えるようにします。子猫が生まれ授乳期になっても、子猫の数や成長に応じて、通常の2〜4倍のエネルギーが必要になります。母猫が常に食事ができる状態をつくりましょう。

2.離乳期・成長期(子猫:〜12ヵ月)

一生の中で一番成長が目覚ましい時期です。運動量も多く、筋肉や骨、各器官の発達のために、成猫の2〜3倍もの栄養が必要となります。この時期の子猫の成長過程は、哺乳期(生後30日くらいまで)、離乳期(生後20〜60日)、成長期(生後2、3ヵ月〜12ヵ月)に分けることができます。
哺乳期は母乳を与えることが望ましいのですが、市販のミルクを利用する場合は、子猫用のミルクを与えましょう。子猫を母猫から離すのは、自分で食事ができるようになってからがよいといわれています。生後20〜60日くらいからは幼猫用フードを与えます。

3.成猫期(1〜6才頃)

成長過程で一番長い成猫期には、バランスのよい食事を心がけるようにします。個体差や運動量によっても必要な食事量は変わりますが、必要な栄養素がバランスよく配合された「総合栄養食」を中心に、猫ちゃんの好みに合わせて「その他の目的食」「おやつ(間食)」なども適量与えてもよいでしょう。

4.高齢期(7才頃〜)

個体によって高齢化の現れ方もさまざまですが、運動量も減り、基礎代謝が低下してくる高齢期になると、成猫期に比べて必要なエネルギーは減少します。カロリーコントロールをしながら、消化がよく食べやすい食事を与えて健康維持に心がけるようにしましょう。
また、食が細くなり、今まで食べていたものに興味を示さなくなることもあります。そのような時には高カロリー設計のフード摂取が望ましいでしょう。少量ずつでも好んで食べてくれるフードがあれば、食事の回数を増やして与えてみるのもよいでしょう。
歯の状態も悪くなり硬いものを食べられなくなる猫ちゃんもいます。そのような場合には、食べやすく飲みこみやすいフードを選んで与えるようにしましょう。運動不足から便秘になることもありますから、食物繊維などが豊富で腸内環境を整えるような食事を与えることも大切です。

監修:桑原久美子
日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)獣医学部卒業。
神奈川県藤沢市 桑原動物病院副院長。
開業しながら、多数の犬・猫・小鳥を伴侶にし、経験をもとに獣医師と患者の立場で執筆活動をしている。主な著書に「正しいネコごはん 愛のQ&Aブック」(角川グループパブリッシング)、「新・子ネコの育て方百科―誕生から12ヶ月まで ネコの気持ちがわかるやさしい育児書」(誠文堂新光社)がある。